効率よく・・のワナの話

SPトーク

違う出口へ向かうエスカレーターに乗ってしまったら、目指す出口からどんどん遠ざかってしまいます。階段だったらすぐ戻れますが、エスカレーターだと戻るのも大変です。効率よく行動するというのは大事なことには間違いありませんが、注意すべきポイントがあります。

 

会社員のころを思い出すとね、いかに短い時間で終わらせるかというのがキーになってた気がする。

家事だってそうよ。同じ結果なら早く終わらした方がいいもんね。自分の時間は1分だって多い方がいいじゃない。

そりゃそうだ。でも仕事だと早く終わっても、次の仕事が連鎖していて結局終わることがないんだ。これは管理職になっても変わらなくて、というかもっとひどくなってね。部下よりも短い時間で部下よりも成果を出す必要があって。しかも管理や教育の仕事だってあるわけだから、どうしたってムリがかかる。いまだに中間管理職の悲哀ってヤツを思い出すよ。

家事だって同じよ。どこまでやっても終わりはないもの。だからあなたの場合は、深夜まで残業するし、休日も出社するし・・ってことになってたわけね。ほんとにブラックだったわね。

それでいて残業するな・・だったから無茶苦茶な話なんだけどね。あのころ効率を最大限高めるには・・ってヒントを探しに本をよく読んでいたなぁ。

そういえば手帳の本が何冊もあるわね。それが原因だったのかしら?

そうそう。今になって考えてみると、「効率化」って怖い部分もあるよね。もし間違っている方向に進んでいるとしたら、本来のゴールからスゴイ勢いで離れていくことになるわけだ。違うエスカレーターに乗ったら、時間が立つほどに遠ざかる。ボタンのかけ違えを効率よくすると・・これが何を意味するかってこと。

そっか。一生懸命にやっているのが逆効果になるわけね。でも間違っているかどうかなんて、そう簡単にわかるもんじゃないでしょ?

そうなんだ。だから一生懸命にやってムダに消耗した・・。そんなふうに感じてる人多いと思うよ。実際上司から具体的な指示が来ても「オレのときはこれでできたんだから、できないはずはない」ってのが多かった。お金も人員にも余裕があったバブル時代の成功体験をいくら聞いても、今の参考にはならないよね。

それでも力いっぱいやらないわけにはいかない。出し惜しみしたら、手抜きをしているのと同じだからね。少なくともそういう風に教育されてきた。それに正解かどうかなんて一定の時間をかけないとわからないことも多い。そうすると方向が間違っているかもしれないという「含み」というか、柔軟性を持たせておく必要がある。

それじゃ自信もってできないんじゃない?

まぁね。でも「絶対はない」と思っている方が大事だと思ってたよ。自分のノウハウよりも優れた方法が必ずあると考えれば、工夫する余地も生まれる。工夫すれば経験を増やすことになる。なにより、いつもと同じやり方をするだけじゃつまらない。頑なに変化しなければ末路は知れているよね。

じゃどうしてたの?

ヒアリングだね。指示して実際に作業した部下からも聞くし、自分が手を加えてできあがった成果物がどのように読まれるかにも着目していた。その結果、作ることを要求されていたけど活用されていない資料は省略するようになったよ。数十ページにわたる資料をやめてA4の紙1枚に集約したこともあったっけ。

ヒアリングの時には、真摯に聞くこちら側の姿勢も大事だけど、伝えようとする側にもスキルがいる。自分の場合は専門職のわりに新人社員ばっかりだったから、チームとしての大きな改善はなかった。だけど上司を飛び越えて経営者に説明していたな。今思えば彼らに対する教育だった気がする。

自分が正しい。わからないのはアホだからだ・・ってなりそうだけど。

そう、部下でそう反応して心を閉ざしているのもいたよ。表面だけ合わせているような感じ。これはある意味仕方がない。でも人間なんだから間違える権利もある・・って思っていた。いずれ何が正しいかわかるはずなんだ。

どっちが正しいか、わからなくなる気もするけど?

そうだね。くさらないこと、ベストを尽くすこと以外にやるべきことはない。そのうえで間違うなら仕方がないんじゃないかな。間違うことは学習でもあるからね。そういう気持ちで取り組んでいると、大事なところで助けられた感覚になることがあったよ。ふとアイデアが浮かんできたり、タイミングのめぐり合わせが絶妙だったり。

ふーん。面白いわね。