高齢者雇用の一環として、定年延長や定年後の嘱託契約があります。
嘱託契約では、自社の社員で定年を迎えた社員に対する場合もあれば、他社を退職した方をスカウトなどで当社に来てもらう場合もあります。
ここでは前者を「自社OB」、後者を「他社OB」と呼ぶことにします。
定年延長や嘱託契約をどうしていますか?高齢者雇用の考え方とは
<自社OBのメリット>
社内の実情をよく知った人物であって、新たな教育をしなくても使いやすいということです。
嘱託の対象になる人物の多くは、ある程度社内評価や実績があります。組織になじんでいるため周囲にも違和感はありません。
年金受給との関係で給料が下がる賃金設計をするケースが多いです。そのため後進の指導も兼ねていると思えば、コストパフォーマンスに優れた心強い存在です。
<他社OBのメリット>
他社OBの嘱託契約では、他社のノウハウや経験を当社に導入するのに役立ちます。
他社、つまり当社とは別の環境で長期間みがかれたエッセンスそのものです。
自社で不足している分野を短時間に補うのにはピッタリの方法といえます。
両者に難点があるとすると、年齢が上がるにつれ、頑固・新しいものを受け入れない姿勢が目立ってくる、健康面で不安がある・・ということでしょうか。ですが、これは誰にでも起きうることです。
新人社員が即戦力にならないこととは対極にありますが、人材の適正配分の問題であるということができるでしょう。
高齢社員をいかに生かしてして使うかという観点で、十分に検討が必要ということを示しています。
自社OBへの信頼感
ここでは従業員の立場で考えてみましょう。
もともと定年制度は急に決まったものではなく、何年も前から十分に意識してきたわけです。
延長して働く理由は様々ですが、いわゆる老後の生活設計がきちんとできていれば、働く必要もなかったかもしれません。
逆に老後のことはともかく働くことが好き、貢献したい・・という人もいます。
ですが年金や貯蓄を補う有力な方法であることには間違いありません。
なにより、今までと大きく環境が変わることがないのは、安心材料となっています。
こういう方の場合、働くモチベーションが低下しない限りにおいて、経営者と従業員の双方でメリットの大きいWIN-WINの関係が作りやすいと言えます。
使えない人材をそもそも嘱託とした場合、だれの判断がまずかったかということになります。
こちらは明らかに経営者側の判断ミスを示していますね。
他社OBの場合には・・
取引先のとの関係で、天下りのような圧力に屈して採用するケースも考えられます。
この場合にはパイプ役以上の働きを期待するのは、無理かもしれません。
大した期待をせず、表面上はにこやかにしていなければ、取引先との関係に支障が発生することになります。
社内の内部情報も筒抜けとなるかもしれません。そういう意味で、あらたな問題の発生源となるリスクが高いといえます。
もちろん、そうでない人物もいます。他社では活躍の場が制限されていたが、新しい場所で開花することを目指すという社員ですね。
高齢者であっても高いモチベーションを維持しています。
しかしながら、いざ新しい職場での不満が重なれば、あらゆることを武器にする危険があります。
有意な人材であるほど、両刃の剣となりかねません。
現役でバリバリやっていたときと比べて、部下の状況も会社の文化も違うわけですから、ストレスはたまりやすいと考えられます。
あっいう間に失速する方もいるので、過大な期待を寄せるのは危険です。
自社に不足する部分を補う有力な戦力だが・・
経営者の立場からすると、自社OBでも他社OBでも一時的なピンチヒッターにすぎないと考えたほうが無難かもしれません。
活躍期間の長さを考えれば、一般社員のレベルアップに傾注したほうが得策とも考えます。
OBに依存することは、あなたが大切なことから逃避している可能性もありますね。
お心当たりはありませんか?