「自分自身はどうあるべきか」
いきなりの問いに「うーん」と考えた人が大半ではないでしょうか。「ありたい」かではなく「あるべきか」ですから。
哲学を持ち出すまでもなく、簡単でないことは明らかです。
生き方に自信を持っている人は決して多数派ではありません。メンタル不調を訴える人が数多くいることはご存知でしょう。共通の正解はない分野ですし。
経営者は、そういう扱いが難しい自己という存在に「会社」という組織を少なからず重ねています。まるで会社が「第2の自分」という存在になっている方も少なくないでしょう。自分が創業し育ててきた会社であれば当然ともいえます。
実際には業務分担が進んでいて、サラリーマンの延長のようなスタイルの方もいます。まったくの自由人として生きているように見える社長さんにもお会いしたこともあります。
一般的な経営者の場合は、自分自身+会社という形で悩むポイントが重層化しているように思われます。そうであれば、「満足だ」という状況を継続することは難しいのかもしれません。
売り上げのアップダウンで悩むとき
道に迷ったら、わかるところまで戻るのが定石です。
例えば売上が伸びてきたとします。あなたはそんな時、どういう気持ちになりますか?
自分が認めてもらったような感覚でしょうか。嬉しい気持ちはあるにしても、支えてくれた従業員や家族への感謝でしょうか?
あなたのおかげで伸びたかもしれません。作戦が当たってというときもあれば、敵失でうまくはまった結果ということもありえます。陰ながら献身的に尽くしてくれた従業員の努力が実ったということかもしれません。
そう、原因をはっきり突き詰めることはできないんです。
イメージはある程度あっても、それぞれの貢献度を実証できるわけではありません。あくまで仮説ですよね。
であるなら、売上が落ちたときも同じことです。
原因はあるでしょうが、唯一の問題点が特定されるということは珍しいのかもしれません。となると解決策も一つですべてをカバーできるわけではない・・ことになります。何もしなくていいわけではないのも明らかですが。
しかし、いつまでも社長さんが気に病んだり、セルフイメージを大きく落とすケースが見受けられます。失敗が続けば無理もないことかもしれませんね。
※補足
もちろん売上が全然目標に達しないなら、別のアプローチも必要です。目標が妥当なら、売上をあげるプロセスに問題があることになりますから。
商品力、マーケティング、マンパワー、ブランド、システム・・・等々いろいろテーマはあります。業種・規模によっても異なるでしょう。すでに取り組まれているケースが大半と思いますが。
安全距離をもつ意味
会社の問題は、経営者個人の内面とは少なくとも安全距離を保つ必要があります。あなたのせいかもしれないが、そうでないかもしれない。どのみち正解はないんです。
だからといって、従業員の誰かをスケーブゴートにする必要もありません。実力を発揮させる場をつくれなかった会社にも責任は皆無とはいえないですから。
となると、正解に近いのは「変化を許容すること」ではないでしょうか。それは大きな器を持つことでもあります。
「正解を探し続けること」が正解なのではないかと思うんですね。
会社も変わっていいんです。あなたの会社はあなたがつくったものかもしれませんが、従業員を雇用したことにより、もはやあなた一人のものじゃない「公器」ですし。あなた個人とは別の運命をたどるのは明らかです。
そして自分にも変化を許してみましょう。会社を離れたら、あなただって一人の人間です。
人生の課題に向かって、その答えをなんとか見つけようとしている。全部正解できなくてもいいじゃないですか。
失敗から学ぶことが大きいのは経営者のあなたならすでにご存じのはず。それでなくても大きな責任と不安を抱えながら、課題に取り組んできたのですから。
あなたのチャレンジに乾杯!
あなたに素晴らしい1年が訪れますように。