<黒字倒産>という言葉があります。
売上には成功したのに回収(入金)までの時間が
かかりすぎて、必要な支払いができない状態を指しています。
実は「人」でも似たようなことが起きることをご存じですか?
人がいるのに回らない?!黒字倒産と社員退職で共通するもの
代金受け取ったのにお金として使えない?!「黒字倒産」
いわゆるキャッシュフローが脆弱・・
ということではあるのですが。
今でこそ流通量は減少していますが
手形で代金をもらう形の資金回収はその代表例となります。
ようやく代金回収したと思ったら
金額の書いてある紙片(手形)に過ぎず
しかもお金になる(=使える資金になる)のが
数カ月先となります。
がっかりしますね。
早期に現金化するにはコスト負担が発生する「割引」
もちろん、期日前にキャッシュにすること(割引)も
可能ですが、銀行にしっかり利息と手数料をとられます。
金利は数パーセントにもなるので負担が大きいのです。
数カ月資金を寝かす覚悟がなければ
年率で数パーセントのマージンをとられるのと同じことですから。
しかも・・。
この寝かしている間に取引先が倒産したら
文字通り手形が紙クズとなるリスクもあります。
商慣習とはいえ、振込入金の偉大さを実感しますね。
人員の補充も負担が大きい
では、これを人に置き換えるとどうでしょうか。
ある業務を手慣れている社員が担当していて
そのことで業務が円滑に回っているとします。
この人が退職したり、病気・ケガなどで
長期脱落したときのことを考えてみましょう。
その人が処理していた内容を
別の人に置き換えようとすると
同じレベル・経験があれば
比較的問題は少ないと考えられます。
代替要員では意外にロスが大きい
しかし、大半の場合はそう都合よくいきません。
スキルの不足する別の従業員が補うことになるわけです。
こうした場合、もとの社員の能力を1とすると
代替要員のスキルは1未満となります。
当然、同じ条件(例:いつまでに)で
同じ成果(例:報告)は出せないため
さらに別の人員を補うことが必要になります。
人が増えればコミュニケーション上のロスも
考慮しなければならず、さらにパフォーマンスは下がります。
2人がかりでようやく同程度かもしれない
仮に代替要員のスキルを0.7とすると、
1)2人で組めば
0.7 + 0.7 = 1.4(うん、十分上回るな)と考えがちですが、
2)新業務の負担やコミュニケーションに伴うロスが発生するため、
0.7 × 0.8(新業務を学ぶロス)
+ 0.7 × 0.8(学ぶロス)× 0.8(伝達ロス)= 1.008
つまりギリギリです。
実際には
・本来の担当者の70%ものスキル・能力があったか
・新業務を学んでアウトプットするまでのロスや
コミュニケーションに伴うロスが20%程度ですむのか
というのはかなり状況に左右されます。
また代替要員を社内から調達したのであれば
その代替要員に対する別の代替要員も考慮しなければなりません。
そのため組織全体のパフォーマンスはさらに下がります。
外から調達すれば、大きなコスト要因になるのは明らかです。
したがって二人がかりでも
従来と同等のパフォーマンスにならないということです。
実際よくある話ではないでしょうか。
お金も人もトラブると大変!いかにトラブルを避けるか
・代替要員はいても、十分なパフォーマンスにならない
・お金になる権利はあってもお金そのものではない
どこか似ていませんか?
財務でも人を使うのでも、一番いいのはスムーズに流れること。
ですので、1日でも長く
この流れを維持できるのが大事ということになりますね。
標準化、システム化、作業のタンデム化を
図らなくてはいけないのは、こうした理由によるものです。
最終的に人を育てることに話は尽きるのですが
従業員は経営者の姿を栄養に育ちます。
結局は経営者ご自身の問題が
大きく影を落とすことになりますね。